寝台特急トワイライトエクスプレスの廃止

寝台特急トワイライトエクスプレスの廃止

寝台特急「トワイライトエクスプレス」は、平成27(2015)年3月14日ダイヤ改正をもって運行を終了します。


車両の老朽化や青函間の牽引機関車、共用区間での保線作業時間の確保などが理由のようです。


昭和40(1965)年10月1日ダイヤ改正の寝台特急「あかつき」誕生から始まる関西発着の寝台特急はすべて廃止されることとなりました。

 

1.車両の老朽化

寝台特急「トワイライトエクスプレス」の廃止の大きな理由として「使用車両の老朽化」があげられています。

(1)客車

寝台特急「トワイライトエクスプレス」に使用されている客車は24系25形です。


24系25形は、昭和48(1973)年度下期から製造された24形のマイナーチェンジ形式です。


トワイライトエクスプレス用に改造を受けていますが、すでに40年前後使用されています。


食堂車「ダイナープレヤデス」に使われているのはスシ24形0番台です。


スシ24形0番台は、サシ481形とサシ489形として昭和47(1972)1月〜2月にかけて製造されたものです。


いまや、電車食堂車の姿をした貴重な食堂車です。


現在使用されている3編成とも、平成13〜14(2001〜2002)年秋にかけて内装を中心にリニューアルされていますが、新製されてから40年以上が経過しています。


時期的に客車を更新する必要性が出てきた時期でもあります。

(2)機関車

寝台特急「トワイライトエクスプレス」では、機関車を3種類使用します。


そのいずれもが旧国鉄時代に製造され、40年前後使用している車両です。

@EF81形

EF81形は、「トワイライトエクスプレス」のうち、大阪〜青森間を担当しています。


所属は、JR西日本敦賀地域鉄道部敦賀運転センター[敦]です。


ここに配置されているEF81は、平成26年4月1日現在で7両です。


これらのEF81は、昭和47(1972)〜49(1974)年にかけて製造されたものです。


JR北海道が所有しているED79とDD51についても老朽化しています。

AED79形

ED79は、国鉄の厳しい財政状況から改造で誕生した機関車です。


種車となったのは、ED75 700番台です。


そのなかでも車齢が比較的若い車両が選ばれて昭和61(1986)〜62(1987)年に土崎(現在の秋田総合車両センター)、大宮、苗穂の各工場で34両が改造されJR北海道青函運転区(現在の函館運輸所青函派出所[青函])に配置されました。


内訳は、0番台21両と100番台13両です。


110km/h対応のための歯車比の変更、粘着特性を維持するための軸重の増加、ATC関係の装備など青函区間に必要な改造が施されました。


比較的若い車両といっても、昭和46(1971)〜50(1975)年にかけて新製されたもので、現在の車齢は40年前後です。


平成26年4月1日現在で在籍するED79の8両中6両に特別保全工事が施工されているものの老朽化しています。

BDD51形

JR北海道のDD51は、函館運輸所[函]のみに全重連形が配置されています。


全重連形は、釣り合い引き通し管を装備し、重連運転時に次位の補機まで単弁が作動するように改良された区分です。


平成26年4月1日現在、保留車1両を含む13両配置となっています。


ここのDD51も昭和40〜50年代にかけて製造された車両ですから現在の車齢は40年前後です。


このように全体的に40年前後使用している車両ばかりとなっており、時期的にも新車などに取り換える頃になっていたため廃止の判断に傾いたのではと思います。

2.青森〜函館間の牽引機関車

日本の在来線で交流電化されている区間の電圧は20000Vです。


東海道新幹線など日本の新幹線の電圧は交流25000Vとなっています。


現在、青函トンネルを含む青森〜函館間は在来線の交流電化区間の電圧20000Vで電化されています。


これが北海道新幹線の一部開業によって青函トンネルを含む海峡線新中小国信号所〜木古内の82kmは三線軌条となった上で在来線と北海道新幹線の共用区間となります。


共用走行区間となる82kmの電圧は現在の在来線の20000Vから新幹線の25000Vに引き上げられます。


いっぽうで共用走行区間以外の在来線交流電化区間の電圧は20000Vです。


在来線の20000Vと新幹線の25000Vの異なる電圧に対応した車両が必要となります。


複数の異なる電圧に対応する車両を「複電圧車両」といいます。


現在、青森〜函館間で旅客列車・貨物列車を担当しているED79やEH500では複電圧に対応できません。


そこで、複電圧車両としてJR貨物はEH800形交流電気機関車を製造しました。


EH800形の新製費用は1両あたり2億円以上ということです。


比較的経営基盤が弱いJR北海道には負担が大きいと思います。


ちなみに共用走行区間では、電圧にくわえ新幹線区間の運転保安装置(ATC)にも対応する必要があり、EH800形もこれに対応できよう関係する装置が搭載されています。

3.青函共用区間での保線作業時間の確保

列車が走る線路は、列車が走るうちに線路のすり減りや軌間(線路の幅)や高低の誤差などの「軌道狂い」が発生します。


「軌道狂い」を放置したままだと車両が不安定となって乗り心地が悪くなるだけでなく、脱線の原因ともなります。


そのため定められた期間で線路保守をして、定められた状態を保つことが安全を確保する上で必須です。


線路の保守は、あらかじめ計測データや線路を歩いて見て検査・点検し、問題がある場所の特定をして補修計画を立て、レールなどの材料を運搬して作業をします。


計測データの収集は、専用車両で日中でも可能です。


しかし、実際に問題がある場所を補修する保守作業は終電〜初電車の深夜・未明に行う場合がほとんどです。


なぜなら、保線作業は規模が大きくなるほどまとまった時間が必要となるためです。


時刻表を見るとわかりますが、日本の新幹線は、ダイヤが乱れた場合を除いて0時〜翌朝5時59分まで運転していません。


これは騒音問題もありますが、保線作業に充てる時間を確保するためでもあるのです。


仮に新幹線の保線作業時間の確保するルールが青函トンネルを含む青函共用区間にも適用されると、どんな列車も0時〜翌朝5時59分まで運転できなくなります。


寝台特急「トワイライトエクスプレス」もこの時間帯に運転しているため、現在の運転時間のままだと運転できなくなります。


寝台特急「北斗星」や同「カシオペア」にも言えることです。


トワイライトエクスプレスの名は、平成29(2016)年春に運転開始の「トワイライトエクスプレス瑞風」に継承されます。

トワイライトエクスプレス廃止後の動き

JR西日本の真鍋精志社長は平成27(2015)年3月18日に定例記者会見を行いました。


その中で、トワイライトエクスプレス用車両は老朽化しているが利用者・旅行会社から数多くのリクエストがあり、JR西日本管内だけでのツアーによる団体臨時列車を検討していると公表しました。


同時に、使用されていた車両の数両を京都鉄道博物館(京都市下京区観喜寺町)で保存・展示する考えであることも表明しました。



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